このたび msb gallery では、サカイケイタの個展『曖昧を見る』を開催いたします。

 

サカイは”ヒューマンエラー”を手がかりに、認知やその原理について関心を持ち、制作しています。

作品に頻出する視覚に訴えるような反復と記号性は一見、ミニマル/オプ・アートの系譜にあるように見えますが、その源流はディスレクシア(読字障害)であるサカイの個人的な経験——識字に関するエラー(文字が模様に見える)や、独特の認知(言語をベースとした場合の認識のズレ)にあります。

作品の中に潜んでいるエラーがエラーを呼び、時に突然迷子になったような心細さを覚え、また時に”言葉遊び”をするような軽やかさと明るさで、鑑賞者を誤認の迷宮に誘い込みます。

 

サカイの作品は、視覚の世界を通して本当は見えていないことを知るための装置であり、ポップでデザイン性の強い見た目とは裏腹に、「見る/見えている」「理解する/知っている」とは一体どういうことか?と、根源的な問いを投げかけているように思えてなりません。

 

本展では、LINE Seriesより新作を展示いたします。

 

視覚を通して実際に体感されるサカイの試みをこの機会にぜひお楽しみいただければ嬉しく思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

サカイケイタ

 

1997年 東京都生まれ

武蔵野美術大学大学院 造形研究科 美術専攻彫刻コース 修了

 

ディスレクシア(読み書き困難)による知覚の特性を出発点として、識字に関する「認識のズレ」をテーマに彫刻を制作している。

日常の些細な行為を作品に織り込み、認識の曖昧さ(ヒューマンエラー)を考察しながら活動を行う。

 

 

 

受賞

2023    Watowa Art Award 2023 準グランプリ・鬼頭健吾賞受賞

            神戸アートマルシェ2023 入選

2022    Watowa Art Award 2022 入選

2021    群馬青年ビエンナーレ 2021 入選

2020    公益財団法人クマ財団クリエイター奨学金第4期奨学生

2019    CAF賞最優秀賞受賞

 

 

主な個展

2022   「PLAY-Patapata Nurinuri」A.R.C生活空間, 中国

2021   「codecode」KITTE marunouchi 4F, 東京 

2020   Underline-生活の記号と関わる」8/CUBECOURT, 東京

 

 

 

 

 

 

ステートメント

 

 

LINE Seriesは都市に溢れる記号(道路標識やサイン)から着想を得た作品群です。

 

記号は情報を伝達する役割を持っています。記号から特徴的な色や柄を抽出しただただ反復させることによって、記号は本来持っている役割から解放されたかのように見えます。機能を失った記号はもはや記号ではなく、模様(パターン)であるにも関わらず、私たちはその単なる色や柄の集まりからあるはずのない信号を感知し、まるで何かを指図されているような不思議な感覚に襲われます。囚われていたのは私たちの方だったのか——? 日々の制作でサインや標識をパターン化する中で、人間の認知がいかに曖昧であり、個が捉える世界に偏りがあるのかについて考えさせられます。

 

本展ではLINE Seriesの新作を展示いたします。新作には色や模様がほぼありません。特徴を失い、記号だったはずの物が物そのものの状態に戻った時、認知の対象から外れただそこに在るだけの姿に戻った時、これといって見るものがなくなった状態でそれでもなお見えてくるものを見てみたくなりました。見ようとして焦点を合わせると途端に見えなくなってしまう、何か。見られることから解放された作品から浮かび上がるのは、自分の視線が作品を通り抜け地球を一周して背後から帰って来るような、認知の世界の曖昧さです。

「あなた」と「わたし」の間にもたらされる認知の境界は常に揺らぎ、内なる他者のまなざしにより不確実性は強調されるでしょう。

 

新作が引き起こす小さなエラーを、旧作とともにお楽しみいただけると幸いです。

 

 

 

 

サカイケイタ

 

 

 

 


 

 

 

このたび msb gallery では、中島綾美の個展『汀線の記録』を開催いたします。

 

中島は岩絵具を用いて、不可思議な自然物を想起させる独創的なモチーフを緻密に繊細に表現しています。夢と現を往来する如く、懐かしい記憶を辿るような感覚を覚えます。

 

本展では、意識と無意識の交感を通じて、自己の日常のなかに見出される、ある一片の事象を描写した作品群を発表いたします。

 

詩的な世界観をこの機会にぜひお楽しみいただければ嬉しく思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

中島 綾美

 

2017    武蔵野美術大学 日本画学科 卒業

 

 

主な展示

2023    親子展 「庭を織る」柴田悦子画廊, 銀座

            三人展 「であい」gallery field, 江戸川橋
2022    時計荘 selection Christmas market ミネラルホリック!Vol.4, 三省堂書店池袋本店

            個展「名辞の檻」アスタルテ書房, 京都
            個展「無意識の晶洞」gallery hydrangea, 曳舟
            武蔵野美術大学卒業生グループ展 「I’m here.」あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 unpel gallery, 日本橋
2021    個展「渚の魔物たち」 柴田悦子画廊, 銀座

            グループ展「絵、纏う」 数寄和ギャラリー, 西荻窪
2020    個展「天使の輪郭」gallery hydrangea, 曳舟

            郷さくら美術館桜花賞 出展 郷さくら美術館, 目黒
2019    ホリデーコレクション展 蔦屋書店, 代官山

          個展「映し鏡の森」八犬堂ギャラリー池尻大橋   
2018    個展「水脈」柴田悦子画廊銀座
            


掲載

2021    月刊美術7月号 個展100字評

            美術の窓 5月号

2020    ExtrART file.26

2019    月刊ギャラリー インタビュー記事 vol.6 月刊美術 8月号 

 

 

 

 

 

ステートメント

 

 

小さな湾の波打ち際に 朝顔の花弁が打ち上げられていた

ガーゼのハンカチにくるむと真珠層のように色素が滲み出る

 

いつかの遠雷が聴こえたような気がして 足元から顔を上げると

脈絡もない漂流物が点々と横たわっていた

 

その奥には西陽に縁取られた釣り人の姿

潮風に乗り 鳶がしずかに弧を描く

 

無意識の淵から吐きだされたものをただ書き留める

いつまで経っても貴方に辿り着かない

 

私は汀線を漂泊する行き場の無い意識のひとつである

 

 

 

 

中島綾美

 

 

 

 


 

 

 

 

 

このたび msb gallery では、kopfkino 五十嵐 彩乃の空想植物標本展『白紙 weißes papier』を開催いたします。

 

kopfkinoは、1枚の白い紙と自然物を組み合わせて、空想の植物標本を制作。美しい植物の造形美を受け取り形にし、自然物から色を拾い上げ着彩しています。

 

初個展となる本展では、始まりとしてのまっさらな「白紙」に意識を向けて、白い鉱物や化石などを使用した作品を発表いたします。

 

どこにも属さないようで、常に隣に在るものに依存している「白」に宿る物語性を、見る方々の想像により色づけて、お楽しみいただければ嬉しく思います。

 

 

 

 

 

 

kopfkino  五十嵐 彩乃

 

1987 東京生まれ

2010 東京造形大学デザイン学科室内建築専攻 卒業

 

大学卒業後、舞台美術や映像美術・装飾として多くの作品に携わり、少しずつ温めていた世界観を具現化させるため、2020年より作家活動を開始。

kopfkino (ドイツ語で「空想」の意味)として、植物や自然現象、空想の欠片をモチーフに、紙や鉱物を使用した空想植物の標本作品を制作。

 

【主な活動】

2023  「もしも博物展」ウサギノネドコ京都店, 京都

          「宝石商のキャラバン」キロプテル雑貨店, 大阪

          「夜の博物館」ギニョール, 大阪

          「雨の日の楽しみ方」ranbu, 大阪

         SICF24出展  スパイラルホール, 東京

2022 トンボ鉛筆×minne FAN ART STUDIO 5月6月掲載

2017 グループ展「touch」SMART SHIP GALLERY, 東京

 

 

 

 

 ※ 作家在廊予定日:

1/25(木) 12:00-16:00

1/27(土 )13:00-16:00

1/28() 17:00-19:00

1/31() 12:00-16:00

2/3()   12:00-16:00

2/4()   12:00-17:00

 

 

 

 

 

 

 

ステートメント

 

 

現代の時間の流れの速さにより、生活で必要に迫られた想像ばかりになってしまっているような昨今。 

私が自分の作品に求めていることは、見る人に「空想」を楽しんでもらいたい。という、ただ一点です。

 

kopfkinoはドイツ語で直訳すると「頭の中の映画館」

つまり「空想」を意味する言葉になります。

 

自然の造形美に触れるとどんどんと空想が溢れ出します。

頭の中で芽生えた物語は現実と空想の境界を曖昧にし、

誰も知らない世界へと密やかに導いてくれます。

 

空想を具現化することで、そこに今在るものとして手に取ることができ、

そしてまた、その続きを他の誰かが想像することもできます。

 

今回の展示では「白」に焦点を当て展開します。

余白の多い「白」は、より自由に、よりリアルに色付けすることができます。

 

「白紙」から生まれる空想を、お楽しみ頂けますと幸いです。

 

 

 

 

五十嵐彩乃