このたび msb gallery では、青秀祐の個展「 DUMMIES 」を開催いたします。
ダミーという実物を模した膨らむ作品の制作は軍事用ダミーバルーンをきっかけに始まりました。
主にミサイルや戦闘機等の防衛関連物から展開して、近年では車や写真パネルなど、一貫して青自身の心に強く残る記憶を手がかりに制作した作品を発表しています。
本展では、変化しつづけるイメージのなかでモノの状態を留めるべく制作した作品群を展示いたします。
青により与えられた欺瞞の造形は、我々の経験や思い出にリンクして大きく膨らんでくれるだろうか?ぜひご体感ください。
ステートメント
現実空間にある実体は知覚され思考空間に取り込まれる。イメージとなった実体は変容を始める。実体は自分の意思とは関係なく失われる。イメージとなった実体の記憶の変容は止まらない。喪失によって実体との隔たりはどんどん大きくなり、変容し続ける記憶すらもだんだん希薄になっていく。
最後には空虚だけが残る。
失われる実体そのものをいつまでも現実空間に留めておく方法はない。喪失も変容も私にはコントロールできない。その対処として、思考空間内の実体のイメージを一時的にサルベージし、現実空間にダミーを召喚する。ダミーの表面には思考空間において既に変容して解像度の間引かれたイメージが施され、送風圧と内部支持構造の反相互作用によって造形が立ち上がる。それはどうにかイメージを保とうとする拮抗構造の投影であり、立体とも平面とも断定できないゲシュタルトの不安定さは思考空間内の実体のあり方と近似している。
喪失と変容の先に訪れる空虚はダミーによってあらかじめ充填される。時間による収奪の目を欺く準備が、これでできていると言えるだろうか。
青 秀祐
青 秀祐
1981 茨城生まれ
2004 多摩美術大学絵画学科日本画 卒業
2015-18 多摩美術大学美術学部日本画専攻非常勤講師
パブリックコレクション
青森県立美術館
個展
2023 『DUMMIES』Gallery 6坪, 新潟
2021 『アッセンブル・模型・ドキュメント・実態』青森県立美術館コミュニティギャラリー, 青森
2018 『弾頭の雨が降る夜に、少年は空飛ぶ夢を見る。』eitoeiko, 東京
2011 『マルチロール・ファイター』 eitoeiko, 東京
『TRIAL』航空科学博物館, 千葉
2010 『PAX-4』eitoeiko, 東京
2006 『FLIGHT』オープンスタジオ, 横須賀
2004 『man game』key gallery, 東京
2003 『脳内棚内部』小野画廊II, 東京
グループ展
2025 マジカル・ミステリー・府中, LOOP HOLE, 東京
2024 AOMORI GOKAN アートフェス2024つらなりのはらっぱ, 青森県立美術館, 青森
2023 青森県立美術館コレクション展2023-1 特別企画 青秀祐×大森記詩 ARMORY SHOW SITE-A:Damage Control, 青森県立美術館, 青森
2021 【作品制作】富野由悠季の世界, 新潟市新津美術館/北海道立近代美術館
二人展『8月の色相は冗談でした』w/江川純太, eitoeiko, 東京
現代日本画の系譜タマビDNA, 多摩美術大学アートテークギャラリー, 東京
2019 【作品協力】 富野由悠季の世界, 福岡市美術館/兵庫県立美術館/島根県立岩見美術館/富山県美術館/静岡県立美術館/青森県立美術館
The German Way of Life II, Haus am Dom, Zollamt, フランクフルト, ドイツ
GENERATION W(AR), トーランス市美術館, トーランス, 米国
2017 ラブラブショー2, 青森県立美術館, 青森
2016 Art and Air, 苫小牧市美術博物館, 北海道
META real 神奈川県民ホールギャラリー, 神奈川
2014 Art and Air, フェルケール博物館, 静岡
プレイヤーズ 遊びからはじまるアート展, アーツ前橋, 群馬
2013 Quadrivium, CES contemporary, ラグナビーチ, 米国
2012 Featherwight, ウエストロサンゼルスカレッジ・アートギャラリー, ロサンゼルス, 米国
インスタレーション展示, Co/Lab アートプラットフォーム ロサンゼルス, 米国
10 年代の終戦, eitoeiko, 東京
Art and Air, 青森県立美術館, 青森
ニューシティ・アートフェア, hpgrp GALLERY NYC, ニューヨーク, 米国
2011 Gateway Japan, トーランス市美術館, トーランス, 米国
『act』w/市川裕司、日比野拓史 アキバタマビ21, 3331アーツ千代田, 東京